進路選択 数学

理学部数学科を無事卒業した人間による振り返り

はじめに

どうもこんにちは、ここみらいチャンネルのシュンスケです。
先日、世間的には異端扱いされがちな理学部数学科を無事に卒業できました。

「数学科に興味はあるけど怖い」
みたいな、昔の僕みたいな高校生・大学生に向けて、数学科についてお伝えしようかなと思います。


僕も学科選択をする直前には迷いがありました。
「ついていけるだろうか?」
「就職大丈夫か?」
「変な奴ばっかりなんじゃないだろうか…」

のような不安がすごく渦巻いていたのを覚えています。

正直、僕は世間がイメージするような数学狂いでもないし、
そこまで数学をやり込んだわけでもない一般の人間です。

だからこそフラットな目線で話せるかなと思うので、一つの参考にしてください。

難しさは実際ヤバい

「マジモンの数学は、マジでヤバい」みたいな噂を聞いたことがある人もいると思うのですが、実際ヤバかったです。

抽象化のレベルが全く違います。

ほんと、こんなに難しいことってあんのか?
ってくらいひたすら難しかったです。

高校までは「マジで分からない」ってことって、そうそうないじゃないですか。
そうだとしてもまあ、たかが知れてると思うんですよ。

でも大学数学は、もうそもそも何を書いているかすら、全くわかりません。
その中身を解読しても、全くわかりません。

もう何にもわかりません。

帰りたくなります。

なので、ぼーっとしていると普通に置いていかれてしまいます。
完全に取り残されて留年している人もいました。
ああいう状況になったら、かなりしんどいと思います。

でも大体の人は、ギリギリなんとかなっていました。

それには大きく二つの理由があると思っています。

友達と協力すれば意外と平気

一つ目の理由は、友達と協力すれば意外といける、ということ。

文字ではサッパリ意味不明だった数学の言葉も、口に出しながらゆっくり議論していくと、少しずつ進めたりします。
あとは単純に得意な友達に教えてもらったりしていました。

数学には「本音」と「建前」が存在しています。
「本音」として「こういうことがやりたいんだ!」みたいな意図がありますが、
それを文章に落とすと「建前」として「でもそれを誤解なく表現するとこうなっちゃうよね」みたいな感じになってしまいメチャクチャ難しくなります。

なので「本音」を探りやすい議論の形式は、大学数学の理解において有効な手段な気がします。

周りを見ても、単独で数学に刃向っているやつはあまりおらず、協力していた印象です。
だから、友達を作って団体で戦うことがおすすめです。

時間をかければなんとかなる

二つ目の理由は、数学が徹底的に論理的であるということ。

大学数学のロジカル具合は、多分未だかつて経験したことがないレベルです。

「まあ、、ここはこういうもんだから覚えて!」

とかないです。
全てのことに理由があり、飛躍することは絶対にありません。

だから、どれだけ難しいことも、一つ一つ階段を登るように理解していけば、いずれはなんとか理解できます。
僕の友達は、教科書を何冊も書き写していました。

数学はあんまりセンスとかでなんとかなるものではなく、どれだけの労力を数学に費やしたか?がすごく重要になります。

逆に言えば、めちゃくちゃ根気強くやれば結構なんとかなります。

数学科の歩き方

上記のような努力を惜しみ、友達もいないような人が留年したような感じです。

だから置いていかれる心配は、あまりしないでもいいのかなと思います。

あ、でも大学数学がどんなものかは確認しておくのがおすすめです。
高校数学と根本から全く違うものです。
あんなのは数学ではありません。(暴論)
大学数学の雰囲気を知るためには数学ガールという本がおすすめ。

この内容に本格的に拒絶反応が出るなら、数学科はやめといた方がいいと思います。

時間はある

数学科は、他の理系学科に比べたらかなり自由な時間が多いと思います。

まず、実験がありません。
これがでかい。

理系の大変さの99%が実験とレポートなので、それがないだけで、もはや理系と言っていいのか分からないほどのヒマ時間が生じます。

また、卒論もありません。
これもでかい。

学部卒程度のやつでは、新しい発見なんてよっぽどすごいやつじゃないとできません。
「前の人がやってたこの実験をもっかいやりました!正しかったです!」
みたいな実験も数学には不要です。
ということで、卒論はありません。ちょっとしたレポート書いておしまいです。
僕の研究室ではA4で10枚くらいなんでもいいから書いてね、みたいな雑なお題だったので、1日で終わらせました。

他の理系学部の人に話したら、ひっくり返っていました。
文系学部の人に言ってもひっくり返っていたので、数学科は意外と全学部の中でも一番楽かも知れません。

また、出席もありませんでした。
これは大学によると思いますが、僕のところは基本的にテスト100%だったので、僕はほぼ授業に出ませんでした。
直前に友達に教えてもらい、テストを乗り切っていました(クズ)。

もう当時の僕はYouTubeにハマっていてフルコミットしていました。あの時間のかけ方は、数学科じゃないと無理だったような気がします。

この辺の自由さは考え方次第ですが、僕のような好奇心旺盛で移り気な人間にはかなりよかったです。

数学を極めようと思っても、普通に余った時間を数学に投入すればいいだけですし。
いい環境だったなあ。

就職大丈夫か?

僕はもともと理系的な職業に就くつもりも、なんなら会社に勤める気もないという特殊な人間だから気にしてなかったけど、確かに気になるところですよね。

実際、数学科にいくか迷っている人の悩みの大半はここに収束するのではないかと思います。

まず、数学をそのまま活かせる職業、っていうのはあんまりない印象です。
アクチュアリーっていう保険会社で計算する仕事とか、
クオンツっていう銀行で計算する仕事とかがあるみたいですが、詳しくはよくわかりません。
数学科なら一度は聞いたことあると思いますが、あまりなっている人を見かけません。
すごく競争率が高いのかもしれません。

「論理的思考力があるからプログラマーに向いている」
とか言われることもありますが、プログラマーになりたいなら、情報学部か工学部の方がいいと思います。
もちろん、数学科からもなれますが、そんなに他の学部に比べて有利になる雰囲気はありません。

こんな感じなのでそもそも「数学科としての専門性をあんまり極めてもなあ」みたいなふうに思う人が多く、大学院にはいかずに学部卒で就職する人も結構多いです。

教師になる人は多いですね。

あとは、普通に文系就職するパターンが多いです。

文系就職するなら、別に数学科だからといってマイナスになることはないです。
なんなら他の学生とは違う戦い方ができるので、うまくやれば武器に使えます。

数学科の就職実績があまりよくないとしたら、それは「数学科だから」ではなく、シンプルにコミュ力が低い人が多いからだと思います。
あとは、周りの就活意識が低いことによって出遅れたりすることが原因ですかね。

これを回避するために、普通に大学時代を主体的に過ごしてガクチカ(学生時代に力を入れたこと)を作り、サークルや就活系の団体に入って数学科以外(特に文系)の友達を作ったりすればいいと思います。

理系っぽい職業に興味がないなら、数学科でも別に問題ないんじゃないですかね。

まあ、こんな状況なので「数学科は就職有利!!」とはお世辞にも言えませんが、
「数学科に入ったら就職無理」ほどひどいとは全く思わないです。


別に、文系と同じじゃないのかな、と思います。
法学部がみんな弁護士になるわけじゃないですから。

まとめ

数学科は別に悪くないですが、覚悟はいります。

僕みたいな「理系っぽい仕事に興味がない」「数学は好き」「暇な時間には色々挑戦したい」みたいな変わり者には最高な学部だと思いますが、「理系っぽい仕事につきたい」「高校数学は好きだけど大学数学はそうでもなかった」「暇な時間があっても怠けるだけ」みたいな人には最悪の学部だと思います!

よく考えて決めてください。

まずは数学ガールっていう本を読んで、その内容を面白いと感じられるかどうかチェックしてみよう!