はじめに
こんにちは、ここみらいチャンネルのソウです。
理学部・工学部は理系の中でも代表的な学部ですが、その違いをちゃんとわかってない人は多いでしょう。
今回は理学部に所属していた僕が、理学部と工学部の違いや、どんな人が理学部or工学部に向いているのかについて説明します。
そして紛らわしい「理工学部」についても言及したいと思います。
理学部 工学部の違いは?
理学部・工学部の大きな違いは、それぞれの学問の目標にあります。
理学の目標は「真理の探究」であり、
工学の目標は「社会への応用」です。
つまり、理学部では基礎的な分野を研究し学問を発展させる、工学部ではその基礎を用い、社会にとってより有用な物を生み出す、ということが求められるわけです。
ここでいう「基礎」とは「簡単」という意味では決してありません。学問の土台の部分というイメージを持ってもらうと良いと思います。
簡単な例を挙げるとこうです。
理学部で数学の基礎となる定理を発見し、きちんとした証明を与える。
工学部ではそれは証明された事実として用い、より現実的に役立つものへと昇華する。
といった感じ。
理学部・工学部いずれにも重要な役割があり、どちらが欠けても科学の発展はあり得ないんです。
理学部に向いているのはどんな人?
自分が理学部というということもあり、これには明確な答えがあります。
それは「物事を深く考えることができ、学ぶこと自体が好きな人」です。
理学は真理の探究を目標としているので、じっくり腰を据えて考え続けられる人が向いています。そして知的な好奇心から専門書と向き合い、勉強ができる人ならなおさら向いているでしょう。
大学に来ると高校のように簡単に答えが出る問題は少なくなります。そんな中で自分の思考を何段階も掘り進めていけるかが理学では特に重要です。
だから理学部にいる人の特徴として、知的好奇心が旺盛、考えるのが好きというのが僕の実感としてあります。
工学部に向いているのはどんな人?
工学部に向いているのは「社会の役に立ちたい、何かを生み出したい」という考えを持っている人です。
工学では前提として、科学を応用し社会をより良いものにしていくという目的があるので、現実社会に役に立つものを作りたいと思っている人に向いています。
また理論をじっくり考えるより、完成された理論を用いてどう応用していくかといったことに興味がある人には工学部をオススメします。
理学部・工学部の進路・就職
理学部・工学部それぞれの進路や就職の特徴を見ていきましょう。
今回は僕が学部時代に所属していた名古屋大学のデータから見ていきましょう。
理学部の進路
名古屋大学理学部数理学科2020年度のデータを紹介します(名古屋大学HPより引用)。
① 民間企業への就職(14%)
② 大学院進学(76%)
③ 高校・中学の教員(2%)
④ 公立機関(3%)
⑤ その他(5%)
となっていますね。かなりの人数が院に進んでいることがわかります。
民間就職もメーカーやIT業界、金融や保険会社など様々です。理学部は「就職無理学部」なんて揶揄されることもありますが、理学の分野で培った物事を深く考える力は社会に出ても求められる力なので、必ずしも就職に不利ということはありません。
また、院に進んだ後、学問の道に残り研究を続ける人や研究職に就く人も多くいます。
さらに、教員になる人が一定数いるのも理学部の特徴です。個人的には理学の分野で学問を追求した人が教育に携わることはとても良いことだと思います。
工学部の進路
名古屋大学工学部電気電子情報工学科 (平成30〜令和2年)のデータを紹介します。
① 民間企業への就職(8%)
② 大学院進学(88%)
③ その他(4%)
となっています。
ほとんどの人が院に進むことがわかりますね。工学部では大学院で研究をし、専門性を高めることが就職でも大きなアドバンテージとなります。だから院でも研究を続け、修士を卒業するタイミングで就職する人がほとんどです。
理工学部とは?
Wikipediaによると、
「理工学部は、大学の学部のひとつ。理学と工学の両方の立場から、自然科学に関する研究および教育を実践する組織である。機械工学、電気・電子工学、金属工学、土木工学、建築工学、経営工学、電気通信学、応用物理学、応用化学、数学、物理学、化学、天文学、工業経営学などの諸科がある。」
とありますね。
要するに理学と工学の両方の学問領域を含んだ学部だということです。
有名どころでは、国立だと横浜国立大学や筑波大学、金沢大学、私立では早稲田、慶応、東京理科などに理工学の分野があるようです。
理学と工学のどちらにも興味のある人は一度考えてみると良いでしょう。
まとめ
理学の目標は「真理の探究」
工学の目標は「社会への応用」
それぞれの学部の特性を考えて進路を選びましょう。
ただ、学部時代で違ったなぁと思ったとしても最悪なんとかなります。
というのも、学部で学ぶ内容はそこまで専門性は高くなく、ものすごい違いが生じるわけではないんです。
ミスっても大学院から専攻を変えればいいです。だからむやみに慎重にならなくても大丈夫です。
みなさんが自分に合った進路選択ができることを願っています。