はじめに
どうもこんにちは、ここみらいチャンネルのシュンスケです。
今回は文系・理系どっちに行くべきか迷ってる方向けにお話をします。
文系・理系の選択は、後の人生を大きく左右する一つの分かれ道であり、軽々しく決めて良いものではありません。
先に言っておくと、これはかなり難しい問題です。
「理系に行っておけば就職余裕だよ」
「文系は遊んでるだけ」
「理系は研究で忙しい」
「文系は将来いらなくなる」
「数学が得意なら理系でいいんじゃない」
のように色々と言われますが、そんな単純な話ではないです。
一口に理系と言っても、それぞれの学生がどのような学生生活を送るかは、無数のパターンがあります。
大学によっても違うし、
学部によっても違うし、
学科によっても違うし、
研究室によっても違うし、
その人の資質によっても違います。
だから、本来は「文系か、理系か」という分け方が信じられないくらい雑なのです。
でも現実問題、そのどちらかに決めなくてはいけません。
単純な話ではないというのを前提として、以下の話を読み進めてください。
なるべく根本的な考え方をお伝えします。
(ちなみに僕は理系ですが、理学部数学科という特殊な立ち位置です)
研究者になりたいか?
まずここを最初に問うべきだと思います。
やはり理系としてのスタンダードな生き方の一つが、「研究者」です。
大学に残るとしても、企業に入るにしても、自分が大学で研究してきたことを活かして仕事をする人が多いです。(もちろん、全員ではありません)
後の人生に直結するので、大学でも膨大な労力を注いで研究します。
日夜勉強をし、仮説を立て、実験を繰り返し、論文を書きます。
研究、と言ってもあまりイメージがつかないかもしれません。
例えば僕のいとこが化学系の修士なので、具体的にどんなことをしているのか聞いてみました。
「自分は化学合成をしているから、その合成方法(試薬、反応時間など)を考えるために英語の論文を読む。
教授と相談もするけど、基本は一人で論文読んで試してを繰り返していくかな。
毎日、ひたすらフラスコ振って反応させて、色々なものが混ざったところから目的物を取り出す。
この地味な作業を毎日繰り返すんだけど、うまくいかない時が多い。
なんでうまくいかないのかわかるまで1か月以上かかるのはざらにある。
1か月以上同じ作業を繰り返して何も進んでないから、ここで研究に挫折する人が多いかな。
この1か月は何だったのか、、、みたいな感じで(笑)
でも、そんな日々を1年くらい続けて、ほんの小さなことなんだけど、今まで何十年も未知だったことが自分の手によって判明した瞬間は、教科書で知識を得たとき以上に興奮するよ」
こんな感じです。(研究によって具体的に何をするかは全く違うので、あくまで一例として参考までに)
まずこれが面白そう、やってみたいと思うかどうかです。
自分が知りたいことを実験して確かめていく過程は、さながら子供の遊びの延長線上のようで、目を輝かせながら一日中研究にのめり込んでいる教授もたくさん見ました。
でもこれが地獄的につまらなそうだと思うなら、理系はやめといた方がいいかもしれません。かなり苦しむことになると思います。
理系と言っても色々ありますから、必ずしもこういう感じではないですけどね。
興味のある大学の学部・学科のホームページから研究室をそれぞれチェックすることをおすすめします。
その点、文系の場合は大抵が大学でやったことと全く無関係な職業に就くので、そこら辺であまり神経質になることはないです。
理系は文系の上位互換ではない
この辺の誤解を解いておきます。
僕が理系を選んだのが、ほとんどこの理由だったからです。
「なんとなく理系が上っしょ???」
と考えていました。
文系は数学物理化学から逃げたイメージがあるからなのか、
理系はインテリなイメージがあったり、
選択肢が多いような気がするからなのか、
なんとなく理系が上な気がしていました。
お恥ずかしい限りです。
大学に入って分かりました。
そんなこと、マジでないですから!!!
文系・理系は別にピラミッド構造のように上下で分かれているわけではなくて、同じ高さで二つの円があるように、エリアが違うだけです。
もちろん、理系には「偏差値30でーすギャハハ」みたいなやつはいないので文系の方が裾野が広くなりますけど、上位層ならばどちらも社会にそれぞれの能力を活かして貢献しています。
「理系の方が選択肢が多い」というのも、見方次第です。
確かに理系に進まないとなれない職業がたくさんありますから、そっち方面に興味があるなら理系に進むのは必須です。
しかし、興味がないなら、無駄に選択肢を増やしても仕方ないです。
その選択肢を増やすために膨大な時間を研究や勉強に投じることになりますから、その時間でできたことを考えると選択肢が削られているとも考えられます。
やはり大事なのは、大学でどう過ごすか、ひいては社会人になってからどういう生き方をするのかを念頭に置いて考えることです。
文転はいけるけど、理転は無理だって聞いたよ
これ、理系を選ぶあるある理由の一つなんですけど、
「あー理系向いてねえわwww文転しよwww」
ってマジで文転する人、見たことないです。
いや、いるとは思うんですけど、少なくとも頻発するパターンではないです。
だったらそんなイレギュラーな状況をあんまり想定しても仕方がなくないか?と思います。
この辺は考慮に入れなくてもいいんじゃないでしょうか。
文転の方がやりやすいって側面はあると思いますけど、他の要素の方がはるかに重要なので、こんなイレギュラー事例に引っ張られて決断が歪む方が怖いです。
得意科目で選ぶべきか?
これもあるあるですが、やめてください。
高校生の段階の得意科目なんて、ほとんど参考になりません。
あるある質問
とりあえず、得意科目による文理選択あるあるに答えてみましょう。
「英語できるから文系がいいな」
➡︎理系もめちゃくちゃ英語大事だぞ!論文とか全部英語なんだぞ!
「数学できるから理系かな」
➡︎大学受験の数学はただのクイズだから、理系としての資質をうまく測れているとは限らないぞ!
「暗記科目苦手だから理系がいいわ」
➡︎理系もめちゃくちゃ暗記必要だわ!なめんな!
みたいに、そもそも大抵がトンチンカンです。
その科目が苦手だから、なんなの?
ここまでひどくなくても、科目の得意不得意で大学の専門分野の研究に尻込みしている人もいると思うんですね。
でもこれも、大して参考にならないと思ってます。
まず、高校生が「私は化学が苦手で〜」って言ってたとして、それは本当に化学の才能がないのか?
っていう問題があります。
ただの勉強不足じゃないの???
もしかしたら、これから時間をかけて勉強したら得意になるかもしれないし、好きになるかもしれません。
僕は高校時代に化学なんて見るだけで吐き気がしそうなくらい嫌いで苦手でしたが、浪人して化学をもう一度真面目にやったら普通に得意になり、今では大好きです。
「数学が嫌いで見たくもないから文系です」って人めちゃくちゃいるけど、本当に数学を真面目に勉強したことあるの?って思います。
「中学まではそこそこ得意だったけど、高校からよくわからなくなって授業もあんま聞いてなかったよ」
っていうパターンなら、ほぼ間違いなくただの勉強不足です。
勉強してそこそこできるようになれば、嫌いでもなくなります。
大学受験で測ってる能力なんて限定的
また、受験で苦手=研究の才能がない
とも限りません。
僕の数学科友達で、数学がとてもできて、分からないところをたくさん教えてもらってた人がいるのですが、彼は受験数学があまり得意ではありませんでした。僕の方が高い点数をとっていたと思います。
しかし彼は僕なんかよりずっと数学について深くじっくり考えることができたし、何より数学を愛していて、四六時中数学の世界に浸ることができました。
試験の点数に直接現れるわけではなくとも、これは大変な才能です。
数学の研究者にふさわしいのは、絶対に彼のような人です。
このように受験科目で才能を測るのは早計だと思います。
この科目が得意だから、理系にいくと有利だぞ
受験に有利かどうかの軸にあまり囚われるのもやめてください。
何が得意かなんて3ヶ月もガチで勉強すれば変わるものなので、文理選択をするような1年以上も前の段階で判断するのは無理です。
もちろん全く関係ない、というのは理想論かもしれません。
しかし、もっと重要なことが「大学でどう過ごすか、社会人としてどう生きるか」だ、というだけです。
自分が例え数学や化学であまり点数が取れなくても、理系として生きたいなら理系に行けばいいんです。
理系の方が将来有利なのでは?
これは、大変難しい問題です。
正直、なんとも言えません。
学部学科や研究室やその人の資質によるし、時代にもよります。
だから結論は「自分で考えなきゃいけない」になってしまいます。
でもとりあえず
「理系だったら就職余裕らしいぞ」
みたいな雑な考えはやめてください。
理系も理系同士で志望企業の内定を取り合うので、普通にトップ争いは激しいです。
どこでもよければ就職できますが、それは文系でも同じです。
文系でも理系でも成功するルートはあります。
その中で自分がどのようなルートを目指すのか、
そのためにはどのような力をつけるべきか、をしっかり検討することが重要です。
よってこの「理系の方が将来有利か」という話は、自分の中にどういう力が身につくか、と言う観点からもう少し細かく考えなくてはいけません。
例えば
「AIの研究者はこれから需要が大きいからそっち方面を目指す。
統計的なバックグラウンドもこれからより重要になってくるはずだし」
みたいな感じです。
ここの仮説をしっかり立てるために、世の中の現状を知り、予測しましょう。
ニュースをみて、本を読み、いろんな人の話を聞きましょう。
今一体どのようなことが起こっているのか、これから世界はどうなっていくのか。
そんな世界で自分はどうやって生きていくべきなのか、どのような力が必要なのか。
文系にいくべきか理系にいくべきかも、それを前提として戦略的に決めるべきです。
もちろん、誰にも未来は分からないですし、忙しい高校生にこんなことを求めるのは酷かもしれません。
しかし、少しだけでも考えてみてください。
少しだけでも、進路を長いスパンでみてみてください。
少しだけでも、世の中の現状を知ろうとしてみてください。
少しだけでも、未来がどうなるか想像してみてください。
0と1は全く違います。
この0から1に踏み込む瞬間をどれだけ持てるかの積み重ねが、人生の選択に影響を与え続け、やがて決定的な人生の違いになっていきます。
まとめ
なんだか面倒だし、説教臭くて嫌な感じですが、誠実に高校生にアドバイスをしようとすると、どうしてもこうなってしまいます。
本当は
「数学が苦手なら文系!」
「迷ったら理系!」
のようにズバッと言いたいです。
その方が読みやすいし感謝もされるしアクセスも集まりそうです。
しかし、それらは必ず複雑な要素を省いて問題を矮小化したものになってしまいます。
ここでの選択が将来に与える影響を考えると、軽々しくそんなことはできません。
僕が思う根本的な考え方をいくつか紹介したので、それを参考に考えてみてください。
この文理選択のように、人生には選択の局面が何度もやってきます。
そしてその選択の質が、人生を決めます。
早いうちから練習しないと、いずれ迷子になってしまいます。
だから、いい選択ができるよう、今から頑張ってください。
マジでめちゃくちゃ応援してます。みなさんにとってベストな選択ができますように!